
エチオピア・イルガチェフェの焙煎プロファイルを作るまで
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エチオピア・イルガチェフェはRudder Sliceで最も長く扱っている豆です。2018年に静岡市内のパン屋から「サンドイッチに合うコーヒーを」と依頼されたのがきっかけで、浅煎りのプロファイルを作り始めました。それまで中深煎りしか焼いていなかったので、ゼロからの試行錯誤でした。
最初の3ヶ月
浅煎りの難しさは、1ハゼ後のわずかな時間の中で止めるタイミングを決めることです。数秒の差で、香りが全く変わります。最初の1ヶ月は、毎回タイマーを使って秒単位で記録を取りました。
試作1回目は、1ハゼ直後に止めたところ、青みが残りすぎました。2回目は少し長くしたら、今度は酸味が飛んでしまいました。3回目から、温度の上昇速度(ROR:Rate of Rise)を意識するようになりました。温度が急激に上がると豆の表面だけ焼けて内部が追いつかない。ゆっくり、でも止まらないように熱を加えることが大事でした。
香りの正体
イルガチェフェのウォッシュドに出るベルガモットのような香りは、リナロールという成分が関係しています。この成分は高温で揮発しやすいため、浅煎りで止めることで香りが残ります。深煎りにすると、この香りはほぼ消えてしまいます。
3ヶ月かけて作ったプロファイルは、1ハゼ開始から約90秒後に排出するというものです。このタイミングは豆のロットによって微調整が必要で、毎回同じではありません。新しいロットが届くたびに、最初の1バッチは試し焼きをしています。
今のプロファイル
現在のイルガチェフェの浅煎りは、投入温度180度、1ハゼ開始から85〜95秒で排出しています。この幅は、その日の気温と湿度によって変わります。静岡の夏は湿度が高く、同じ設定でも豆の水分量が変わるため、音と色で判断する部分が大きいです。
冬は乾燥しているため、同じ投入温度でも豆の温度上昇が速くなります。11月以降は投入温度を5度下げて調整しています。こういった季節ごとの調整は、記録を続けているから気づけることです。
プロファイルは今も少しずつ変わっています。同じ豆でも、ロットが変われば豆の密度や水分量が違う。毎回同じ味を出すことの難しさと面白さが、焙煎を続ける理由のひとつです。
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